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2024.08.22
2024/8/22 太白カントリークラブ(宮城)管財人、債権者に和解案の賛否を問う

2022年12月29日をもって閉鎖した太白カントリークラブ秋保コース(18ホール、仙台市太白区)を運営していた㈱太白カントリークラブの破産管財人である阿部弘樹弁護士(ひろむ法律事務所、仙台市)が管財人HPにて、3月19日に開かれた債権者集会(第3回)の内容を開示し、和解提案を行っており、ゴルフ場の存続を左右する岐路となっている。
管財人は昨年7月14日に開いた第1回債権者集会での報告書で、同CCの土地所有名義が破産会社から令和2年11月6日売買を原因として㈱ブルーキャピタルマネジメント(以下BCM)へ、令和3年11月15日譲渡担保を原因としてさらに㈱B・Hホールディングスヘと登記簿上移転していること。さらに会員の一部が起こした、これら行為が債権者を害する詐害行為に該当するとして、その取り消しを求める訴訟を受継するとともに、 この訴訟の判決が出るまでの間、破産管財人による土地の管理行為を暫定的に認めるよう求める仮処分申立てを行ったことを報告した。

11月22日の第2回債権者集会では目立った進展はなかったが、3月19日開催の第3回では土地名義人であるBCMから仮処分手続において和解の申し出があり検討・協議を行っていることを報告。その和解案の内容はBCMらは、①破産管財人に対し、令和6年5月31日までに2億1100万円を支払う、②太白CCに対して有する破産債権をすべて放棄する、③本件不動産の土地上の動産等の撤去・収去処分などの費用一切を破産管財人に請求しない、④破産管財人は2億1100万円の弁済を確認した後、BCMらを被告とする否認訴訟の訴えを取り下げる--とした。
管財人は、この和解案のメリットについて、和解解決金と破産債権の放棄により破産財団にとって2億3000万円程度の利益になる。これは令和5年12月中旬時点で不動産業者による土地査定額に近く、実質的に勝訴して不動産を換価したのと同様の効果を得ることができる。否認訴訟等は必ずしも勝訴の見込みが高いとはいえず、今後、訴訟を継続しても地上権・抵当権付きでしか本件土地の所有権が取り戻せない可能性もある。その場合、地上権・抵当権付きの不動産の換価は著しく困難あるいは廉価となってしまうが、このようなリスクを回避することができるとともに早期かつ、高率の破産配当を行うことができるとした。
デメリットとしては「ゴルフ場としての復活は期待できない」ことで、一部会員の望みが絶たれる。

また否認訴訟継続のメリットとしては関係訴訟で勝訴すれば所有権が太白CC名義に戻り、破産管財人がゴルフ場運営会社等に本件不動産を売却することにより、ゴルフ場再開の可能性が生じる。一方デメリットとしては否認訴訟の一審で勝訴したとして、控訴・上告と進んだ場合、訴訟の確定は2~3年後となる可能性が高いとした。
債権者の一部からは仮に抵当権付き不動産であっても、相当程度の金額で不動産を買い入れてもよいというスポンサーも紹介されているとしているが、2~3年後の手入れされていないゴルフ場土地を抵当権付きで2億円以上の金額で買い入れることに経済合理性・実現可能性を見出すことはできるのか、という疑義は残るとしている。
しかも、訴訟が解決してもすでに太陽光パネルが設置された状態になっている可能性があるとも説明。管財人としては預託金債権者らに文書を送付するなどして、 債権者の意見を聞いた上で、最終決断したいと案内している。

「ゴルフ特信」第7070号より一部抜粋

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