2018.10.01
2018/10/1 ゴルフ場水質調査、3例が新基準の水産指針値を超過
環境省はゴルフ場で使用される農薬について、平成29年度に地方自治体等が実施したゴルフ場排出水等の水質調査の結果を取りまとめ、9月13日に公表した。
今回調査は1435カ所のゴルフ場を対象に延べ3万8927検体について実施。その結果、ゴルフ場排出水の農薬濃度の指針値のうち、水濁指針値を超過した事例はなく平成15年以降ゼロが続いたが、新基準である水産指針値を超過した事例が3件あったという。
前年の28年度までの調査は、「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針」(平成2年5月、旧指導指針)に基づき、都道府県等においてゴルフ場で使用される農薬について調査・指導が行われた。それが29年3月に生態系保全の観点から水産動植物被害の防止のための水産指針値を新たに定め、「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止及び水産動植物被害の防止に係る指導指針」(新指導指針)を策定し、都道府県に通知した。
環境庁では平成2年度から地方自治体等が実施したゴルフ場排出水等の水質調査結果を取りまとめており、この度、平成29年度の調査結果を取りまとめたとしている。
調査が実施されたのは山梨県を除く46都道府県で、調査ゴルフ場は1435カ所、調査対象農薬は174農薬(157成分)としている。また総検体数は3万8927検体で、水濁指針値超過検体数はゼロ、水産指針値超過検体数は3検体(ダイアジノン1、ピロキサスルホン2)であった(評価に用いた指針値は平成30年3月22日時点)。
この結果について環境省では、「排水口調査の結果、水産指針値を超過した事例が見られたこと、また、分析において定量下限値が指針値を上回っており、指針値超過の有無が不明な事例が見られたことから、すべての都道府県に対し、ゴルフ場関係者への新指導指針の周知を図り、農薬の使用に関し一層の注意を促すとともに、分析においては定量下限値に十分に注意するよう求めることとします」と発表している。
水産指針値は水濁指針値より10倍厳しいことから、昨年も6検体が指針値を上回ると指摘されていた。
日本ゴルフ場経営者協会(NGK)では環境省の発表について「定量下限値が指針値を上回っている」ということは、「ダイアジノン」を例にとれば、水濁指針値は50μg/lLですが、水産指針値は0.77μg/Lである。よって、定量下限値を0.77μg/L以下にしなければならないがそのように設定されていないため、「超過不明検体」が出たと解説している。