2020.01.05
2020/1/5 路線転換のゴルフ場利用税、年齢非課税枠拡充は保留に
ゴルフ団体や文科省(スポーツ庁)等が求めていたゴルフ場利用税の非課税枠拡充要望は、五輪出場選手などの競技者向けは検討課題となったものの、年齢の非課税枠拡充は交渉次第となった。
12月2日に自民党本部で開かれた自民党税制調査会小委員会のマルバツ等審議で、文科省のゴルフ場利用税の非課税枠拡充要望も審議の俎上に上ったもの。全面的な採用にはならず、令和2年度の与党税制改正大綱(税調、12月12日頃とりまとめ予定)に向け最後の折衝に入った。
文科省(スポーツ庁)の令和2年度税制改正要望は、関係省庁との協議にも入れないとしてこれまでのゴルフ場利用税廃止から、非課税枠拡充に方向転換。ゴルフ団体のゴルフ場利用税廃止運動推進本部や自民党、超党派のゴルフ振興議員連盟もそれに同調し、非課税枠を年齢18歳未満70歳以上、障害者、国体参加選手等の現行に加え、「年齢30歳未満、65歳以上、オリンピックを含む国際競技大会出場選手、全国的なアマチュアゴルフ競技出場選手」への拡充を要望してした。
小委員会では当初、利用税非課税の年齢枠拡充は検討もされない「×」だったが審議により、五輪出場選手などの競技者向けなどと同じ「△」の扱いとなった。△はスポーツ庁と総務省が事務方で調整する扱いという。同審議でJGA主催の競技(日本アマや日本学生等)のみが「×」の扱いで不採用が決まった。
小委員会で議題となったゴルフ場利用税関係の要望内容と影響額は次の通り。
(1)非課税措置の対象年齢の拡充(現在の非課税措置の対象年齢である「18歳未満の者」、「70歳以上の者」について、それぞれ「30歳未満の者」、「65歳以上の者」に拡充する)の影響額は計123億円(18~29歳約31億円、65~69歳約92億円)としていた。
(2)国民体育大会のゴルフ競技における公式練習に参加する選手への非課税措置で約17万円。
(3)2020年東京オリンピック競技大会を含めた国際競技大会のゴルフ競技(公式練習を含む)に参加する選手への非課税措置(①公式練習を含む東京オリンピックゴルフ競技参加選手を非課税=約120万円、②同オリンピック以外の国際大会(2026年第20回アジア競技大会=愛知県及びワールドマスターゲーム2021関西=関西各地域)のゴルフ競技(公式練習を含む)に参加する選手を非課税=約720万円)。
(4)公益財団法人・日本ゴルフ協会が主催・主管する全国的な規模のアマチュア競技会のゴルフ競技(公式練習を含む。現状、15団体。日本アマチュア選手権、日本学生ゴルフ選手権など)に参加する選手を非課税=約370万円となっている。
影響額は(1)の対象年齢の拡充が最も多く、文科省ではゴルフ場利用税配分を現状の道府県3対市町村7から、市町村割合を95%として市町村分の税収減を避ける案を示していた。(2)の要望は影響力は少額だが、総務省が提示していた。また総務省が要望していたゴルフ場利用税の堅持は「〇」扱いだったという。
スポーツ庁では「年齢の拡充要望は厳しい状況ではあるが税調とりまとめに向け、総務省との折衝が残っており、わずかな可能性がある」と話している。いずれにしても、スポーツ庁は「一般ゴルファーが恩恵を受けない非課税化ではゴルフ振興の効果がない」として年齢枠の拡充を目標としており、総務省の出方を牽制している。