2021.05.02
2021/5/2 コロナ禍の影響で厳しい状況も黒字化で臨むゴルフ場
姉妹誌の月刊ゴルフマネジメントは毎年4月にゴルフ場資材機材年鑑を発行するのに合わせてゴルフ場の予算アンケートを行っており、その速報がまとまった。
今回もWEBアンケートで集計した。昨年に関してはコロナ禍で厳しい営業状況でもあったが、新年度はかなり回復に期待している結果となった。
今回のアンケートで2020年に入場者数が減少したと答えたゴルフ場は67・2%で3分の2以上を数えた。前年並みが17・2%、増加は12・5%であった。前年同時期のアンケートでは半数以上の55・6%が増加と答えていたので1年で一変したことになる。増減の要因としては当然ながら「コロナ」が86・7%と圧倒的で、「好天」20%、「降雪」10%、「豪雨など大雨・台風」6・7%などとなった。
また2021年予測については、「2019年まで回復」が29・5%ともっとも多く、「前年及び2019年より増加」26・2%を含めれば、半数以上が2019年並みかそれ以上まで回復するとみている。これは昨年秋ごろまでは考えられなかったことで、前向きな予想が増えてきた。次に前年並みが16・4%、回復はせずに前年並みが13・1%あり、少数だが連続減と予想したり、前年の落ち込みの半分以上は回復を見込むコースもあった。いずれにしても、入場者数の回復に手ごたえを感じている。
利用者の内訳では、会員の利用比率が31・3%となり、前年同期の32・0%よりわずかにダウンした。というのも、今回アンケートに答えたゴルフ場は前回より会員数が少ないゴルフ場の回答比率が高かったためだ。このため会員の平均年齢は61・8歳で前年の64・2歳より2・4歳若返った。また女性利用者比率は前年の13・6%から13・7%に増えている。
「最近増えたのは?」の質問では多い方から「若い世代」と「2サム」52・5%、「会員」41%と会員利用の高さも指摘されている。以下、「家族・小グループ」と「女性」39・3%、「1人予約」32・8%となり、「9ホールプレー」8・2%、「1人プレー」4・9%の比率で、「ビジネス」の回答はゼロだった。やはり、コンペの減少を指摘する意見が大半でコロナ禍を象徴する回答となっている。
もっとも、コロナ禍で増えていた「スループレー」はすでに半数以上が5%未満と答えたように、かなり通常プレーの形に戻っている。完全スループレーに移行したゴルフ場がある一方で、通常ゴルフ場では一部スタートのみスルーで受け入れるスタイルになりつつあるようだ。
一方、2020年の売上規模については「3~5億円」が45・3%と最多で、「1~3億円」15・6%、「5~7億円」14・1%、「7~10億円」9・4%などとなった。平均客単価が1万円を割るような減少により、「3~5億円」クラスの比率が増えたようだ。また2020年の売上高は「減収」が60%を占めた。減収程度は「10~20%」が29・7%で多く、「10%未満」15・6%、「20~30%」10・9%、「30%以上」3・1%。増収と前年並みはともに15・6%だった。ただし収支は赤字が35・9%で最も多いが、黒字31・3%、トントン23・4%で減収ながらも黒字を確保したゴルフ場が少なくなかった。
2021年収支予測はトントン45・0%、黒字38・3%、赤字は15・0%と回復を見込んでいる。2021年予算は増加が41・3%、前年並み39・7%、減少14・3%と、コロナ禍を経験しても前年調査に続き増える方が目立った。
当面の課題については、「新型コロナウイルス」、「コース・施設の改修・改善」が73・8%で並び、次に「入場者対策」の67・2%となった。少し離れて「労務対策」42・6%、「食堂関係」41%、「会員対策」27・9%、「イノシシ・カラス等」14・8%、「廃プラスチック」13・1%となった。
そして営業改善の施策にむけては、「コース・ハウス施設の清掃・消毒と美化」が60・7%でトップ、「コース・ハウス内施設の省力化」49・2%、「健康経営など働き方改革」34・4%、「接客・営業などの社内研修」31・1%、「廃プラ削減など環境保全の取り組み」と「食堂の見直し(テラス活用、お土産・テイクアウト)」26・2%、「SDGsに基づく行動宣言」16・4%、「ツーリズム含む地域、提携先との関係強化」11・5%となった。
その他、予算のうち増加する設備投資・商品や、業界の統一の取り組みなども尋ねた。
予算の関係はゴルフ場資材機材年鑑にて、また業界の取り組みや意見などについては月刊ゴルフマネジメント本誌で集計し、詳しく報告する予定となっている。