2021.08.21
2021/8/21 西武HD、アセットライトで一部ホテル・ゴルフ場売却
西武ホールディングス(HD)が、新中期計画でも発表していたアセットライト化計画で、ホテルやゴルフ場、スキー場の一部の売却を検討していることがわかった。売却交渉先は複数の投資ファンドなどと報道されており、売却後も運営受託する考えも明らかにしている。
売却する方向で検討していると名前が挙がったのは、ザ・プリンスパークタワー東京や札幌プリンスホテル、びわ湖大津プリンスホテルなど約10のホテルや、ゴルフ場、スキー場といったレジャー施設40カ所程度とされ、売却額は1000億円を超える規模とみられている。
同社が今年5月13日に発表していた今年3月期の決算ではコロナ禍の影響で主力の鉄道事業やホテル、ゴルフ場などレジャー事業も売上が減少し、特損計上もあって当期純損失は723億円に上っていた。昨年11月にはグループの財務基盤強化を目的に連結子会社により優先株式を発行、今年3月26日には、横浜市金沢区において保有・運営していた杉田ゴルフ場(ゴルフ練習場・テニスコート)を売却していた。
また5月13日に併せて発表されていた23年度までの新中期計画で「アセットライトな事業運営」、「損益分岐点の引き下げ」、「ニューノーマルに合わせたサービス変革」の3つのテーマに対し、聖域なく「経営改革」を断行するなどと表明。ポイントとして21年内に①「売却し運営受託する資産」と「グループで継続保有する資産」とに峻別、②再開発を予定している資産等が対象となる 「グループで継続保有する資産」は価値極大化を目指す、③オフィスビル物件を流動化の対象として、信託受益権をSPCへ売却する方針。
サービス面では、Society5.0やSDGsに加え、コロナ禍で進んだ価値変容、行動変容を的確に捉え、西武グループのサービスを変革していくことにより、新たな時代において、グループのサービスをご利用いただくお客さまを広げ、満足いただくことで、多様なサービスを繰り返しご利用いただく「西武グループのファン」を増やしていくなどとしており、時代に即した変革を目指している。
アセットライト化や資産の流動化はホテルなど不動産業では良く知られ、ゴルフ界でもアコーディア・ゴルフ㈱が競合先からの買収対抗策として打ち出した(買収したファンドが所有・運営会社とも買収)ことでも知られる。
西武HDによると、「ゴルフ場については売却候補、売却先など現時点では決まっておらず、年内を目処に資産流動化を進めていくことになる。売却後も当グループが引き続き運営することになるが、これまで以上に緊張感を持ったサービス向上が求められる」と話している。
再開発などで価値向上が見込める品川プリンスホテルや軽井沢プリンスホテルは保有を続けることも明らかにしており、国内29コース(グループ別H数ランク3位)のゴルフ場を抱える西武グループの動向が今後注目を集めそうだ。