一季出版株式会社

2022.09.04
2022/9/4 高齢ゴルファーが貢献、熱心なコアゴルファーの重要度

現在4つの県営ゴルフ場を設置し、民間の指定管理者のもとで運営している群馬県企業局は、今年3月に「群馬県営ゴルフ場事業あり方検討委員会」の報告書をまとめており、令和3年8月に県営ゴルフ場の利用者に対して実施したアンケート調査が興味深いので今回紹介する。
同委員会は令和3年7月に設置されたもので、ゴルフ場利用者数減少や施設の老朽化、自然災害、新型コロナウイルスによる影響による利用者ニーズの変化等を踏まえ、ゴルフ場運営を検討する必要があるとして、専門家から意見を聴取、また民間に委託して4つの県営ゴルフ場の利用者に対するアンケート調査をし、加えて県内の民間ゴルフ場支配人に対するアンケート調査を実施している。

4ゴルフ場の利用者アンケートは、計565名が回答。内訳と居住地の県内人数は玉村ゴルフ場145名(36名)、前橋ゴルフ場136名(85名)、板倉ゴルフ場140名(22名)、新玉村ゴルフ場144名(81名)と前橋G場の県内比率が72・6%と最も高く、板倉G場の17・6%が最も低い。
年齢別では70歳以上が26・4%で最も高く、60~69歳23・7%、50~59歳22・5%、40~49歳12・9%、30~39歳7・8%、19~29歳6・7%と満遍なく分布し、比較的若い世代もより多く感じられる。そしてゴルフ場による違いも明確となっており、新玉村G場は50~59歳が28・5%と最も多く、40~49歳18・1%も目立ち、カジュアル志向が最も高いが距離のあるコースで好まれている印象。前橋G場は70歳以上の高齢者の比率が46・3%、県内比率が72・6%で断トツに高く、競技志向と健康志向とがゴルフ志向を二分している。玉村G場はゴルフ歴の若い方や10年以上のベテランゴルファーとも比率が高く、隣接の新玉村G場と補完関係にあり、共同運営が提案されてもいる。
もっとも同アンケートの回答者のうち、ゴルフ歴2年以内の方が1割以上あり、コロナ下で県営ゴルフ場が選ばれやすかったものとみられる。女性の回答比率は15・9%で群馬県の女性利用者比率の平均並みとなっている。

注目したいのは年間ラウンド回数だ。なんと年25回以上が39・1%を占め最大で、年13~24回も31・1%と多い。年7~12回は17・8%、年1~6回は12・1%に過ぎない。年間ラウンド回数を回答した563人の比率から年間延べプレー数を推計すると、回答数の23倍で4ゴルフ場の年間延べ利用者数約20万人に達する。これには年25回以上と答えた220人の平均ラウンド数が28回になる必要があるが、県営ゴルフ場の利用者数は1万3千人、平均回数16回ほどで延べ利用者数に達する計算も成り立つ。
こうした構造が全国のゴルフ場の平均の姿になっているならば、コアゴルファーの回数増加は延べ利用者数が増える近道になるのは間違いなく、高齢ゴルファーが増えることは市場活性化にも貢献していることがわかる。
3月28日公表の同報告書では向こう20年を見据えた方向性検討の結論として、①県営ゴルフ場は必要である。各ゴルフ場の特色やターゲットを明確にし、ニーズに合ったサービスの提供を行う。②クラブハウスの更新は高額にならない簡素なものを検討されたい。4ゴルフ場が全て同様の設備である必要はなく、プレースタイルに応じてレストランや浴室、ロッカールーム等の廃止や縮小の検討をされたい。③ドレスコードの撤廃(Tシャツ・短パンでの来場可又はプレー可等)について検討し、利用者に周知する方策を講じられたい。④県民割引等の導入を検討し、料金の見直しを検討されたいとした。

運営のあり方としては従来通りの「昼食をとってプレーしたい」需要が最も多かったが、「スループレーのみでも良い」と「カジュアルに気軽にプレー出来るゴルフ場の方が良い」も重視、民間ゴルフ場の支配人は県営ゴルフ場に対してスループレーなどを期待していることもわかった。
県営ゴルフ場を利用している方は「交通の便が良い/自宅から近い」、「料金が手ごろ」の順で圧倒的に多く、民間ゴルフ場で利用する際は「料金が手ごろ」、「交通の便が良い/自宅から近い」の順で選ぶとしており、今や県営ゴルフ場より料金の安い民間のゴルフ場が増えているものの交通の便で県営が選ばれていることがわかる。そして県営ゴルファーの需要もこれら上位2つに集約されている。

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※「ゴルフ特信」第6825号より一部抜粋

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