2023.03.27
2023/3/27 2021年度全国ゴルフ練習場、利用者数1億人突破
ゴルフ練習場業界の専門紙「月刊ゴルフレインジ」(東京都渋谷区)を発行するケージーアール出版と、系列調査機関である㈱ゴルフ経営研究所は、2021年度(21年4月1日~22年3月31日)の「全国ゴルフ練習場の施設数と利用状況」の共同調査結果を「月刊ゴルフレインジ」2月号(1月25日発行)で発表した。
21年度の調査について同紙では、近年の施設形態の多様化に即して従来の「ゴルフ練習場の定義」を一部改定、新定義で集計を行ったとしており、このため21年度の前年度比は参考値となるとしている。
同調査によると21年度の延べ利用者数は2009年度以来12年振りに1億人突破の1億30万9千人を記録したとしている。前年度に比べ981万9千人増(前年度は286万4千人増)、率では10・9%増(3・3%増)で3年連続の増加となった。
練習場業界は2010年度から落込みをみせ、以降は東日本大震災や原発問題、豪雨や台風などの異常気象によって低迷を続けてきたが19年度より上向きに転じた。20年度と21年度はコロナ禍ではあるが、同紙によると「『家近の手軽な運動空間』という練習場特性が幸いし、かつてのピーク時を凌駕する好況値となった」と報告している。
21年度の施設数は2867施設で、前年度比109施設減、率では3・6%減(前年度2・4%減)となっている。これは施設数のピーク時である1992年度の5420施設と比較すると、21年度は2553施設もの減少で、率では47・1%減と半数近くに縮小したことになる。施設数の減少は1993年度から29年連続となっている。
施設数を都道府県別にみると、前年に比べ増加したのは東京都171施設増、兵庫県27施設増、大阪府25施設増、神奈川県19施設増、宮崎県11施設増など計17都府県。前年と同じは3府県。前年より減少したのは北海道72施設減、静岡県71施設減、愛知県38施設減、群馬県27施設減など27道県にのぼっている。北海道や静岡県などでは、前述の新定義によりゴルフ場が開放していた施設内練習場をカウントしなくなったことから、前年度の施設数と大きく異なっているとしている。
延べ利用者数を都道府県別にみると、東京都の2101万4千人(67・9%増)が最も多く、大阪府が860万9千人(32・1%増)で次ぎ、以下、神奈川県854万8千人(23・6%増)、埼玉県746万8千人(14・3%増)、愛知県707万人(14・5%減)、千葉県642万3千人(6・9%増)などと続いた。増減率では増加が佐賀県117・6%増、沖縄県94・4%増、秋田県68%増、東京都67・9%増、青森県66・5%増など。減少は静岡県45%減、北海道44・5%減、高知県40・2%減、三重県29%減などとなっている。
1施設当たりは全体で3万4987人となった。利用者数増加もさることながら施設数の減少によって、前年度に比べ4581人、15・1%の大幅増加となった。8年連続で増加するとともに、1965年の統計開始以来最大値を記録したとしている。利用者数最多は大型施設の多い大阪府の7万564人(5%増)、2位は奈良県の5万2384人(5・4%増)、3位は神奈川県の5万1493人(9・5%増)、4位は東京都の4万7328人(3・2%増)、5位は埼玉県で4万6967人(9・3%増)。上位は20年度と同様に、大都市部とその周辺県に変わりなかった。
同紙の報告によると、練習場の施設分布は関東に全体の40%が集中している。しかも最多の東京は444施設だが、そのうち76・1%がインドアで23区内に限定すると82・6%がインドアだという。閉鎖に関しては大手企業の人気練習場の閉鎖、個人系や都市部の中小規模施設では施設老朽化や相続、後継者問題から閉鎖が相次ぎ、インドアもコロナ禍で閉鎖が倍増しているという。
また、コロナ禍のゴルフブームを背景に規制緩和、シミュレーターの普及、開設の容易さ、事業再構築補助金などから、今後はインドアの新設ラッシュが22年度から23年度にかけて始まる。約1000施設ほどが開設されるものと推測している。