2024.06.10
2024/6/10 2023年ゴルフ場企業法的整理、6件で負債計256億円
2023年のゴルフ場企業法的整理は、前年よりも件数、コース数とも1件減少し、5年連続で1桁台に収まった。
23年の法的整理の申請状況は、1月に1件1コース、3月に1件1コース、5月に1件1コース、6月に2件2コース、7月に1件1コースあり、年間トータルでは6件(6コース)でともに1社1コースずつの申請だった。
前年のゴルフ場企業法的整理申請7件(7社7コース)に比べると、23年は1件(1社1コース)の減少。2年振りの減少で1桁申請は5年連続している。コース数は既設6コース(前年比1コース減)、建設中・認可未着工0コース(増減なし)で、負債総額は256億03百万円(198億円増)。1件当たりの負債額(不明の1件除く)は51億円となり、前年よりも43億円増加した。
法的整理を申請した企業6件を申請日順でみると、伊豆スカイラインCC(静岡)経営の伊豆スカイラインカントリー㈱(1月26日、第三者申立破産、今年1月16日に第2回債権者集会あるも特段の進展なし)、太白CC(宮城)経営の㈱太白カントリークラブ(3月7日、第三者申立破産)、仙台空港CC(宮城)経営の㈱仙台空港カントリークラブ(5月9日、会社更生法=債権者申立)、センチュリー・シガGC(滋賀)経営の㈱センチュリー(6月1日、特別清算)、函館シーサイドCC(北海道)経営の㈱函館シーサイドカントリークラブ(6月23日、破産)、ギャッビィGC(静岡)元賃貸の㈱東名小山カントリー倶楽部(7月6日、破産)となっている。
6件中4件が破産となっているのが特徴で、4件とも申請会社はゴルフ場運営から撤退か離れており、会社更生法の㈱仙台空港カントリークラブは別会社がゴルフ場を運営、㈱センチュリーも特別清算により新会社でゴルフ場を運営している。
従来、ゴルフ場法的整理の主な手段だった民事再生法が23年は1件もなかった。それだけゴルフ場の再建方法も従来とは異なってきた。
例えば、サン・ベルグラビアカントリー倶楽部㈱は私的整理でゴルフ場事業をメダリオン・ジャパンリゾート㈱にゴルフ場を承継した。秋北観光開発㈱は民事再生法適用によるゴルフ場を模索しているようで、事業停止としている。
もっとも、今年の法的整理第一号となった㈱信州伊那國際ゴルフクラブは民事再生法の適用申請で、会社分割で子会社に信州伊那国際GC(36H、長野)を承継し、裁判所の許可を得てスポンサー先に選定した坪井工業㈱に譲渡する計画だ。
なお、バブル崩壊以降の法的整理状況は、23年12月末で件数815件(既設997コース、建設・認可48コース)、負債総額17兆174億円となった。
複数回法的整理を申請したり、元経営会社等のケースもあるが法的整理件数は997コースで千コースの大台となるまであと3コースとなった。初回の民事再生から10年、20年経過したゴルフ場や法的整理せずに預託金問題を先送りしているゴルフ場も少なくなく、次世代等への承継の際には債務を先送りしない施策が多くなりそうだ。