2024.10.05
2024/10/5 ゴルフ場建設工事、金額が前年度比280%の激増
国土交通省は、令和5年度分(令和5年4月~令和6年3月)の「建設工事受注動態統計調査報告」を先ごろ公表した。
この統計調査は、建設業許可業者(約47万業者)の中から約1万2千業者を対象に実施しており、そのうちゴルフ場建設工事は請負契約額1件当たり500万円以上を集計している(令和3年度に推計方法を変更)。
それによると、令和5年度の全国ゴルフ場建設工事金額(請負契約額)の総額は311億66百万円で前年度実績に比べると229億71百万円、率にして280・3%増と激増し、工事件数では前年度実績に比べ256件、93・2%増の495件と倍近く増えている。
工事金額が300億円を超えたのは令和では初めて、平成30年度から過去10年遡ってもないほどの驚異的な増え方だ。
工事を発注した企業の工事金額を業種別(全11業種)でみると、3業種(農林漁業、情報通信業、金融業・保険業)で前年度とも金額ゼロ、2業種(鉱業・採石業・砂利採取業・建設業、その他)が前年度に比べ減少、6業種が前年度に比べ増加となっている。増加では、ゴルフ場企業を含む「サービス業」が285億35百万円で金額トップ、伸び率トップが「製造業」の1562・3%増(金額12億66百万円)だった。前年度ゼロだった「運輸業・郵便業」(4億円)と「卸売業・小売業」(2億26百万円)は、5年度の工事受注があった。
工事件数では、前年度に続き受注ゼロが3業種、前年度比減少が「その他」、前年度と同が「電気・ガス・熱供給・水道業」で2件、前年度比増加が6業種という結果だった。増加した中で最も件数が多かったのが「サービス業」で315件(前年度比124件増)。以下、「鉱業・採石業・砂利採取業・建設業」65件(37件増)、「製造業」50件(46件増)、「卸売業・小売業」28件(28件増)などの順となっている。
令和5年度の1件当たり工事金額を計算すると63百万で、前年度に比べ96・9%の増加とほぼ倍増している。業種別では「サービス業」91百万円、「電気・ガス・熱供給・水道業」35百万円、「製造業」25百万円など計6業種で1000万円を超えている。
ちなみに、ゴルフ場建設工事を含む同統計の土木工事全体の工事金額は4兆3710億37百万円で、前年度比7・5%の減少。工事種類(全10種類)別では増加が4種類、減少が6種類となっており、ゴルフ場建設工事は金額こそ10番目だが伸び率では280・3%増で断トツだった。
ところで、令和5年度のゴルフ場建設工事は、前年度発注が減った「サービス業」、「不動産業」など第三次産業の企業が反転し、過去最大クラスの金額、件数となっている。激増要因としては、「新設・増設・改良・解体・除去・移転・耐震改修(以下、新設等)」といった規模の大きい工事が5年度は全体(495件)の7割にのぼる350件を数え前年度より153件も増えていること、それに伴い新設等の工事金額も必然的に増えている(5年度は289億36百万円で前年度比219億66億円、315・2%増)ことが挙げられる(他に「維持・補修」が145件で22億30百万円)。新設等の工事金額の大部分(245億35百万円)は、完成時期が〝2~3年度目完成工事〟だった。
なお、都道府県別の状況については、全体の工事件数は千葉県67件が最多で、以下、兵庫県51件、長崎県43件などと続き、15県で受注ゼロだった。工事金額は埼玉県112億88百万円、神奈川県33億47百万円、広島県31億70百万円などの順。1件当たり工事金額トップは埼玉県の3億94百万円で、次に福岡県2億88百万円、群馬県2億55百万円、広島県2億44百万円などとなった。新設等の大規模工事は、件数で千葉県(65件)、工事金額で埼玉県(112億33百万円)がそれぞれトップとなり、工事金額が10億円を超えたのは埼玉県のほか茨城県、群馬県、神奈川県、岐阜県、広島県、福岡県の計7県にのぼっている。