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2018.10.02
2018/10/2  「ゴルフツーリズムセミナー」、文科省内で開かれる

(一社)日本ゴルフ場経営者協会(NGK、東京都)と(一社)日本ゴルフツーリズム推進協会(JGTA、東京都)は、共同主催による「ゴルフツーリズムセミナー~世界のゴルフツーリズムと日本の現状について~」を9月19日に東京都千代田区霞が関の中央合同庁舎第7号東館(文部科学省)で開いた。スポーツ庁が共催した無料セミナーで関係者を含め約120名が聴講した。

 セミナーでは主催者を代表してJGTAの小島伸浩副会長が「今年10月に三重県で日本ゴルフツーリズムコンベンション(JGTC2018)」が開かれることなどゴルフツーリズムに関心が寄せられていることなどを挨拶。スポーツ庁の今里譲次官はゴルフ市場の現状を分析したうえで「(ツーリズム等の)業界の取組みをスポーツ庁としても応援したい」などと述べた。

 次に、北海道大学観光学高等研究センターの遠藤正客員教授が「世界のゴルフツーリズムからみた日本の現状について」を講演。まず、日本のゴルフ界が抱える課題としてマクロ的に「少子高齢化」があり、業界的な視点として①日本国内のプレーヤー減少(2015年問題)、②国内ゴルフ参加層の拡大の難しさ--を挙げた。参加人口の傾向はスキーと似た減少傾向にあり、スポーツツーリズムを検討する際もスキーの先例が参考になるが北海道のニセコはオーストラリアやアジア圏の旅行者で賑わうものの外国化しているだけで反面教師になるとも紹介した。またゴルフツーリズムではゴルフツアー専門のオペレーターの国際組織・IAGTOのコンベンションなどを開いたマレーシアやタイがアジアでは成功していると紹介した。

 日本でも2010年4月に北海道ゴルフ観光協会が設立され、海外からのゴルフツアーが増えていることや、今年三重県で開かれるツーリズムコンベンション、来年からのラグビーワールドカップ、東京オリンピック、ワールドマスターゲーム関西と続く〝ゴールデンゴルフイヤーズ〟(早大間野教授提唱)と海外客が増えるイベントが続く環境を紹介した。最後にゴルフツーリズムの推進にはゴルフ場、観光関連業者、行政等との連携が不可欠と訴えた。

 次に、三重県観光局海外誘客課の松本将課長が「三重県のインバウンドにおけるゴルフツーリズム」について講演。三重県のインバウンドの現状や台湾、タイなどとの交流事業、ゴルフ場を中心に観光施設、旅行会社などで「みえゴルフツーリズム推進協会」の活動を行ってきたこと、そして10月のコンベンションについて紹介した。

 また、スポーツ庁からは「ゴルフを活かした地域振興に向けて」の講演資料が配られ、海外旅行者数が増加傾向の一方でゴルフ場を取り巻く環境の厳しさから、日本のゴルフ業界が生き残るには「結論1」として、「①ゴルフ好きの高齢者を維持・確保しつつ、②国内で新たなマーケットを開拓し、③海外のインバウンド客も取り込む」必要があるとし、〝海外のゴルフ場はライバルではないという考えは古い〟、〝ゴルフだけでインバウンド誘客しようとするのは誤り〟など提言満載の上、ゴルフ漫画(週刊少年ジャンプで藤巻氏が今年6月まで連載)で若者はゴルフに興味を持っているなどの好材料を上げ、「結論2」として「ゴルフは好景気と相性が良く、アベノミクスの今がチャンス」、〝生き残ることは変化に対応すること〟(人口は減る、高齢者は増える、若者は減る、インバウンドは増える)、〝今、未来に向けた種蒔きをする必要〟などと結論付け、説明した担当官も「皆さんのチャレンジの成功を祈ってます」と述べた。

 最後にNGKの大石順一専務理事が「ゴルフ場のインバウンド意識調査第2弾」(NGK調べ)の資料と各講演者の内容を踏まえ、ゴルフツーリズムはゴルフ場だけで考えず、地域の観光資源として地方自治体や周辺観光施設と協調を図る必要があることなどを話して、セミナーを締めくくった。

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※「ゴルフ特信」第6283号より一部抜粋

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