2019.04.21
2019/4/21 USGAシンポでの「日本のゴルフ場調査」報告
USGAの第5回「ゴルフ・イノベーション・シンポジウム」で3月12日に矢野経済研究所の三石茂樹氏(スポーツグループ長兼上級研究員)がアンケートに基づく「日本のゴルフ場調査」を報告した。
USGAとJGA、矢野経済研究所の共同調査を基に日本のゴルフコースが長期的視野で財務改善するための新しい考え方を提示。ベンチマークを用いた手法としている。アンケートは日本国内1950ゴルフ場に送付し、約10%の194コースから回答を得て入場者数、売上高構成比、経費構成比、財務上の課題などを集計したとしている。それによると、回答のあった194コースの運営内訳は「メンバーシップ(セミパブリックなどWeb予約が可能)」71%、「完全メンバーシップ(会員同伴または紹介に限定)」19%、「パブリック」10%。ほぼメンバーシップのゴルフ場で、会員数を平均すると1410人となっており、回答の内訳では「1000~1499人」32.8%、「500~999人」25.4%、「2000人以上」15.3%の順で多い。
2018年の年間来場者数では平均3万8611人となった。回答は2万人未満から6万人以上までと幅広いが、「3万人台」29.0%、「4万人台」24.2%、「2万人台」23.7%などと続き、2~4万人台のコースが多かった。
ゴルフ場で徴収しているフィの質問では、「ゴルフ場利用税」が98.2%と大半で徴収しており、以下、「カートフィ」91.4%、「キャディフィ」と「年会費」各74.3%、「プラス9ホールフィ」68.9%などが多くなっている。
展開しているサービスでは「レストラン」96.8%、「ロッカールーム」95.2%、「コンペ集計サービス」93%、「コース内トイレ」92.5%、「用品販売」91.4%など。ゴルフ場の付帯施設は、「パッティンググリーン」97.8%、「ドライビングレンジ」75.8%、「ショートゲーム練習場」42.5%、「シュミレーションゴルフ」1.6%で、予想以上に完備していたという。
スタート時間では、「7分間隔」64%、「8分間隔」30%、「6分間隔」4%、「9分間隔」と「10分間隔」各1%で、7分ないし8分が主流のようだ。1ホール当たりのティグラウンド設置数は、「4カ所」40%、「5カ所」28%、「3カ所」21%、「6カ所」7%、「2カ所」4%の順。18ホールの平均ラウンド時間は、「4~5時間未満」64.5%、「5~6時間未満」30.6%、「6時間以上」3.8%、「4時間未満」1.1%で、食事休憩を含め平均は4時間45分だったとしている。
ゴルファーとのコミュニケーションツールは、「電話」76.3%、「手紙、DM」72.0%、「eメール」58.6%、「FACEBOOK」43.5%、「FAX」39.2%、「新聞・雑誌広告」34.4%、「インスタグラム」12.4%など。
次に、ゴルフ場のメンテナンスに最も影響を与えているもの(費用負担が大きいもの)の質問では、「人件費」が70%と圧倒的で、他は「芝草・植物管理費(化学肥料、栄養剤等)」19%、「メンテナンス機器」7%、「排水工事費」2%、「水道料金」1%、「各種保険」1%。
一方、同調査では〝ゴルフ場のサポートと研修制度について〟と題して、ゴルフ場に4つ質問している。
①ゴルフ場の課題に対しては、多い順に「来場者減」、「人件費」、「クラブハウス維持管理」、「コース維持管理」、「他コースとの競争」、「会員数減」などと続いた。
②最も学びたいと思うものでは、「芝草管理学とコースメンテナンス」、「ゴルファーとのコミュニケーション戦略」、「顧客データベース管理」、「飲食事業」、「財務システム」などで、入場者の減少傾向や省力化運営、コスト削減といった現状を打開するノウハウに関心が高かった。
③業務改善のために最も有効であると思う情報という質問では、「ゴルファーからの〝生の声〟」49件、「同業者との交流を目的として地域的な交流会」28件、「同業者との交流を目的として全国的な交流会」17件などで、最も学びたいと思う質問でも上位のゴルファーとのコミュニケーションを重視していると推測できる。
最後の④ゴルフ団体に果たして欲しい機能と役割については、多い順に「新規ゴルファー創出」、「ゴルフ認知度向上のための活動」、「ゴルフ振興」、「コース管理者への教育システム提供」、「ジュニア向けプログラムの充実」などで、ゴルフ人口の拡大が急務であることが回答から十分伝わってくる。