2019.07.08
2019/7/8 政府が「共生と予防」を両輪に認知症施策推進大綱
政府は6月18日、認知症発症を少しでも遅らせ共生を目指す、新しい「認知症施策推進大綱」を閣議決定した。大綱案の段階であった夫婦の老後資金として公的年金以外に「2000万円が必要」との記述は削除された。
新大綱の基本的考え方は、認知症は誰もがなりうることから、認知症の人やその家族が地域のよい環境で自分らしく暮らし続けるためには、認知症への社会の理解を深め、地域共生社会を目指す中で、認知症があってもなくても、同じ社会の一員として地域をともに創っていくことが必要。そのため、認知症に関する正しい知識と理解を持って、地域や職域で認知症の人や家族を手助けする認知症サポーターの養成を進めるとともに、生活環境の中で認知症の人と関わる機会が多いことが想定される小売業・金融機関・公共交通機関等の従業員等向けの養成講座の開催の機会の拡大や、学校教育等における認知症の人などを含む高齢者への理解の推進、地域の高齢者等の保健医療・介護等に関する総合相談窓口である地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターの周知の強化に取り組む等としている。
首相官邸によると、安倍首相は「これまでの認知症施策を更に一歩前に進め、政府一丸となって速やかに実行していくため、本日、認知症施策推進大綱を取りまとめました。同大綱においては、認知症の人や家族の視点を重視しながら、共生と予防を車の両輪として取組を強力に推進する」ことと表明したという。
具体的には、「認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる共生を目指し、生活のあらゆる場面で認知症バリアフリーの取組を進めていくとともに、予防のために効果的な運動などに高齢者の人々が身近に参加できる場の整備や、予防法に関する研究開発の推進などによる予防を進めていきます」とし、「各大臣におかれては、この度取りまとめた施策を速やかに実行に移し、誰もが幾つになっても活躍できる生涯現役社会の実現に向けて全力を尽くしてください」と呼び掛けた。
大綱では共生を広げる新たな施策として、鉄道やバスなどの公共交通事業者に対し、認知症の人を含む高齢者などへの対応や研修のあり方を含む計画の作成と取り組み状況の報告・公表を義務付ける。また高齢者の運転を認める新制度の検討についても今年度中に方向性を決める方針だ。
認知症の予防面では、運動不足の解消や糖尿病、高血圧など生活習慣病の予防、社会参加等が取り上げられており、同大綱に具体的には盛り込まれていないものの、ゴルフ界も協力して研究が進むゴルフを通じての認知症予防策も注目されそうだ。