一季出版株式会社

2019.09.20
2019/9/20 10月から消費税増税、軽減税率対策に何を準備?

10月1日から消費税が8%から10%に引き上げられる。同時に酒類を除く飲食料品と新聞(週2回以上発行)の定期購読は軽減税率が導入され、現行と同じ税率8%に据え置かれる。このため全事業所で仕入れ、販売の際に消費税率が何%であったかを記録しておく必要があり、この消費税の複数税率導入に伴い、古い基幹システムやレジなどは更新が必要となっている。
今年7月段階にあっても消費税の軽減税率導入にあたっては説明や判断が微妙として「どう判断しているか迷っている状況」を月刊ゴルフマネジメント9月号「軽減税率対象と対策を学ぶ」の特集で紹介した。
そこでは椅子やテーブルのある茶店で飲食する場合は「外食」で、持ち出すと「テイクアウト」となり、軽減税率の8%となることはわかっていても、茶店やギャラリープラザでの飲食など両方が混在する場合に悩ましいという声が上がった。

こうした意見もあり、国税庁では8月から「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の問51(屋台等での飲食料品の提供)や問68(遊園地の売店)等で内容を更新し、自らテーブル、椅子、カウンター等を設置したかで判断が分かれるところとなった。
いずれにしても、「外食」と「テイクアウト」が混在するケースが多くなりそうで、販売する際に事業者がお客に「外食」か「テイクアウト」を確認して決める(販売時に外食10%を確認して販売後、お客が残り物をテイクアウトしても税率は変わらない)こととなる。

価格表示面では消費税を含む総額表示が義務付けられているが、令和3年3月31日までは消費税転嫁対策特別措置法で税抜(税別)も認められており、税率が混在する商品だった場合、2種類の価格を表示する必要がある。
また、月刊ゴルフマネジメント10月号でも軽減税率の運用面でのまとめを紹介するが、9月号で判断を留保していた自動販売機での飲食料品の販売は、自動販売機の設置場所に関係なく軽減税率の適用対象となることがわかったので同誌が出る前に報告する。新早見表も作成したので、参考にしていただきたい。日々の取引、販売にも影響するので、基幹システムの対応が間に合わない場合も含めて、その準備を整えておきたい、
10月から消費税の税率は、飲食料品以外2%値上がりして10%となり、すでに発表されている郵便やたばこ(JT)の他、改定される商品、サービスも多くなると見込まれる。最低賃金の見直しや働き方改革からゴルフ場やゴルフ関連企業も価格の見直しを行うと見られ、全体的に若干の値上がりとなりそうだ。

ちなみに大手飲食業ではスターバックスコーヒージャパンは顧客の申し出に応じて持ち帰りなら消費税8%、店内飲食なら10%を適用。メニュー表示は従来通り税抜き価格のみ。増税に合わせた商品の値上げは行わない。日本ケンタッキー・フライド・チキンは、店内飲食と持ち帰りのいずれの場合でも商品の税込み価格を統一して分かりやすくする。例えば「オリジナルチキン」1ピース税込み価格は、店内飲食でも持ち帰りでも250円に据え置く。ただし、増税分を賄うため、一部のセットやサイドメニューは値上げするなどと発表されている。
消費税値上げでの経済面への影響については、消費への冷え込みが懸念される他、米中、日韓の経済対立が長期化するなど不透明な状況で、価格転嫁がスムーズに行くとは言えない状況。ゴルフ業界としては渋野日向子プロの女子メジャー制覇など追い風を利用して東京五輪につなげ、乗り切りたいところだ。

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※「ゴルフ特信」第6412号より一部抜粋

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