2021.02.03
2021/2/3 ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(福岡)民事再生手続開始
ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(18ホール、福岡県糸島市)の経営会社である㈱ザ・クイーンズヒルゴルフ場(代表田原司氏、本社=コース)は、令和2年12月7日に福岡地裁より民事再生手続開始決定を受け、管財人に髙松康祐弁護士(福岡市中央区、弁護士法人みらい法律事務所)が選任された。
同クラブは創業者が死去したこともあって経営権を巡り紛糾。地元の信用調査機関が随時報道する事態に発展し、昨年12月に創業者の長男の田原司氏が代表に就任する一方で、ゴルフ場の会員2名が同社に対する民事再生法の適用を申請するも今年3月に棄却となっていた。その後、新代表は運営面の改革を発表したようだが、クーポン券などを発行する会社側の案に会員側が反発し複数のクラブ委員が同社の再生法の適用を求めて6月に申請していた。
一方で、現代表側はスポンサーが存在するとして大口債権者に年内に元本を返済し自主再建を模索する姿勢を示していたようだが、その大口債権者の九州債権回収が10月8日に㈱ザ・クイーンズヒルゴルフ場の再生法適用を申請し、開始決定が出て、管財人が選任されたことから同意には至らなかったようだ。また会員側はクラブの旧理事を発起人に「クイーンズヒルゴルフ場を守る会」を発足させ、現代表の退陣を求め、民事再生手続きでの賛同を集める動きを進めていたという。
ゴルフ場は営業を続けており今後、管財人の下で再建方法を模索することとなった。
帝国データバンクによると、㈱ザ・クイーンズヒルゴルフ場の負債額は昨年7月期末時点で預託金約118億円を含む168億8400万円。会員数は1400名ほどと見られている。同社は平成2年12月に、地場不動産デベロッパーの㈱ソロンを経営していた田原學氏が設立したゴルフ場経営業者。2001年には第69回日本プロゴルフ選手権大会が開催され、2002年7月期は年収入高約9億4000万円を計上していた。その後、同年11月に迎えた約90億円の預託金償還は3分割にして期限を10年延長したほか、2005年以降は銀行からの借入金が系列の債権回収会社に移される事態となっていた。さらに、2012年11月には延長されていた預託金約118億円の償還期限を迎えたものの、償還資金不足から「永久債」への転換要請でしのいでいたが、業績は停滞し2019年7月期の年収入高は7億9100万円にとどまり経常損失を計上、債務超過状態が続いていたという。そして2017年3月に創業者の田原學氏が死去し、2019年12月に田原司氏が新代表に就任したものの、旧経営陣と司氏との間で株主権をめぐる争いが生じていたと説明している。
ちなみに、㈱ソロン系列で開発した大分サニーヒルGC(18ホール、大分県)と阿蘇大津GC(同、熊本県)は経営の2社はオリックスグループをスポンサー先として2008年9月に民事再生法の適用を申請し、系列を離れていた。