2021.04.11
2021/4/11 コロナ禍のゴルフ消費、高所得と低所得層で伸びる
総務省統計局がまとめた2020年「家計調査」(家計収支編)では、30代を中心とする若者のゴルフへの消費増加が目立ったが、世帯収入別や地域別を見ると、コロナ禍ならではの特徴が浮かび上がっている。
二人以上世帯の消費で見ると、2020年はゴルフプレー料金の購入頻度は100世帯当たり124回で前年比10・8%減、1世帯当たり支出平均は7850円で前年比16・0%の減少であった。ゴルフ用具の購入頻度では100世帯当たり14 回と前年と同じで、1世帯当たりの支出平均は1144円で前年比9・8%減少だった。
では、年収入別のゴルフプレー料金支出を見ていくと、頻度は1500万円以上376回(前年比6・5%減)、750~800万円未満225回(144・6%増)、1250~1500万円未満206回(47・1%増)、1000~1250万円未満156回( 52 ・7%減)、900~1000万円未満146回(94・7%増)と300~350万円未満146回(20・7%増)が多い。増減率は増加が前出の750~800万円未満144・6%増、200~250万円未満127・3%増、900~1000万円未満94・7%増が高い。逆に600~650万円未満は63・6%減、650~700万円未満は57・1%減と低い。
またプレー料金支出額では、1500万円以上3万166円(30・4%減)、1250~1500万円未満1万4875円(8・5%増)、750~800万円未満1万1741 円(29・2 % 増) の順で多い。増減率は2 0 0 ~250万円未満147・6%増、900~1000万円未満41・0%増で高く、1000~1250万円未満50・1%減、600~650万円未満46・0%減で低い。
総じて高所得層が多く、年金世代や低所得層の一部も多くなっている。コロナ禍で会員の利用率が高まり、30代の若者のゴルフ利用・支出が増えた傾向がうかがえる。低所得層でも65歳以上の高齢者比率の高い350~400万円未満などは頻度は多いものの支出額はより減少した。また1000~1250万円未満世帯は比較的高齢者の世帯で例えば共働きであっても大学生を子供に持つ世帯が多いと考えられ、高所得層では突出して頻度、支出とも大幅減少した。
年収面でわかるのは高所得層と一部低所得層の伸びが顕著で、中間層が落ち込んだ。年齢的に50代の落込みが多かったのを年収面で表しているといえよう。
一方でゴルフ用具を見ると、購入頻度では1500万円以上44回(13・7%減)や1250~1500万円未満29回(6・5%減)など高所得層が多いが、増減率では200~250万円未満100%増など低所得層で高く、600~650万円未満66・7%減など中間層の一部で低い。支出額でも350~400万円未満186・4%増、200~250万円未満140・4%増など年金世代や若者世代の多い世帯で伸びている。
世帯主平均年齢は59・7歳で、高齢者比率は300~350万円未満や350~400万円未満、それに1500万円以上も高い。世帯数はその300~350万円未満が最も多く、350~500万円未満、300万円未満、それに1000~1250万円未満、800~900万円未満の順位となっている。
また地域別では関東がプレー料金の頻度、支出、ゴルフ用具の頻度、支出が多いが、比較的落ち込みが目立ったのも関東だった。増えたのはプレー料金面で東北や九州、用具では沖縄や北海道が目立った。大都市でプレー料金、用具とも落ち込んだ一方で小都市などは増えた数字も多い。給付金の一部を用具やプレー料金に充てた世帯もありそうなデータで、ゴルフは3密を避けられるスポーツとして注目され、近距離に足を運ぶ利用者の増加が大都市圏からの落ち込みをカバーしたとも考えられそうだ。
いずれにしてもゴルフは高所得層に好まれ、低所得者層にもプレー料金面で安くなったことで、大衆化が進んだとも分析できよう。