2021.05.21
2021/5/21 相模原ＧＣ（神奈川）新年度の重点３施策を定義
ゴルフ場企業は昨年コロナ禍で厳しい１年だったが、徐々に持ち直しつつあり、今回からいくつかゴルフ場企業決算の状況を報告する。
株主会員制の相模原ゴルフクラブ（36ホール、神奈川県相模原市）を経営する㈱相模原ゴルフクラブ（鳴澤隆代表取締役社長）は３月25日に第68期（２０２０年１月１日～12月31日）の決算を報告した。
それによると、売上高は10億３８９１万４千円（前期12億７３３１万８千円）で、経常損失１億３５４７万９千円（経常利益３４３５万円）、当期純損失１億４４１３万２千円と２期振りに減収減益となった。
同ＧＣの会員は正会員で３株、平日会員は１株保有し、名義書換えによる新入会員は２０２０年12月１日からは正会員６００万円、平日会員４８０万円と保証金を25％引き下げている。年会費は正会員12万円、平日会員９万円、家族会員９万円。
同社では事業の状況として、経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に分けて報告。
①「経営方針」は〝当クラブは「品格ある楽しいゴルフクラブ」の理念のもと、ハード・ソフト両面の充実を図ってきました。楽しいコース、楽しい仲間、予約の取りやすさ等から、会員の満足度は高いものがあります〟等と報告。
②「経営環境」では〝２０２０年は一年を通じて、未曾有のコロナ禍に最優先で取り組みました。具体的にはハウス及びコースの安心安全策の展開、クラブ運営ルールの見直し、業績悪化対策、従業員のケア等々、会員にも積極的にご協力をいただき会社・クラブをあげて推進しました〟。
③「対処すべき課題」は、〝未曾有のコロナ禍は、ワークスタイルの大きな変化、あらゆる分野でオンライン化の加速など、社会構造や価値観に大きな変化をもたらしつつあります。ゴルフのプレースタイルの面でも、今回当クラブで緊急対応として実施したスループレー、二人プレー、日曜予約制など、新たな取組みを評価する声が少なくなかったことは注目されます〟等とした。
そして２０２１年は３点に重点的に取り組む計画とし、①「理事会・分科委員会の活性化と企業提案力の強化」。会員・ゲストのニーズの変化に機敏に対応し、クラブライフの充実を図る。②「会社の機能強化と効率化」。５つのタスクフォース（従業員エンゲージメント、コース、ゲスト営業、入会、食堂）で分野ごとの改革案を検討してきたが、秋までには会社実務への定着を図る。併せて業務のＩＴ化を推進し、生産性の向上を図る。③「新規入会者の増加策の推進」次世代会員に魅力的なクラブのあり方を構想し、発信し続ける。加えて、２０２１年５月に開催が予定されているアジアパシフィック選手権・ダイヤモンドカップの開催コースとして、コース整備、運営、ホスピタリティなどの面で内外の高い評価を獲得すべく、クラブをあげて取り組んで参りますとした。
【事業等のリスク】にあげたのは第一に会員数の確保、第二に地球温暖化に伴う異常気象の頻発や会員やゲストのニーズの変化への適切かつ迅速な対応。会員の高齢化の進展や世の中のカート志向の強まりを踏まえ、西コースに電磁乗用カートを導入（昨年10月）。一方、中長期視点で、ジュニアゴルファーの育成や一般のゴルフ愛好家がコースを体験できるプログラムの提供など、日本の市場活性化に貢献することも重要と考えているとした。
第三は、不安定な収入環境の一方、収益の不安定性に留意が必要と説明。もっとも財務の不安定性という観点では、当クラブは十分な現預金有価証券を抱えており、キャッシュフロー上の問題は極めて限定的。他方、会員制のクラブであり、中期的収益見通しを判断し会費見直しによる収益安定化も可能としている。
昨年の営業状況については、４月14日から５月７日まで21日間の営業自粛などで上半期（１～６月）の来場者は前年比67％、ゲストは半減（51％）。大型コンペやパーティは企業の自粛方針等で激減し、食堂売上高は前年比３割減、また休日の貸切コンペは１件のみで、前年（10件）に対して大幅減だったという。
明るいニュースとして、西コースで電磁乗用カートが昨年10月４日から稼働を開始し、10～12月の東西来場合計に占める西コース利用率は前年同期の46％から51％に増加したという。
年間の営業日数は前年比25日減の２８４日となり、総来場者数は４万８８１０名で、前年比８４５９名減少。売上高は前年比18・４％減の10億39百万円、営業外収益は前年比11・２％減の３億円となり、収益合計は前年比16・９％減の10億39百万円と前年を大きく下回ったとしている。
来場者数の利用比率でみると昨年は会員が60・６％（前年53・２％）、ゲスト35・６％（43・３％）などで会員の利用が７ポイントほど高まっている。
