2021.09.06
2021/9/6 2020年度ゴルフ場売買価格、コロナ禍も前年度並み
2020年度(20年4月~2021年3月)に、ゴルフ場の価格(経営株売買額、事業譲渡額、法的整理でのスポンサー拠出額、競売等価額、不動産鑑定価額、売却希望価額、簿価等含む)が判明・推定できた国内のゴルフ場の価格は20コースとなったが、その1コース平均価格はコロナ禍にも関わらず前年同様に推移したことが本紙の調べでわかった。
この期間に30コースほど経営交代があったが、売買の成立で価格が推定・判明できた20コースの平均は12億6947万円で、前年度(9コース)の12億500万円と比較すると、率にして5%のアップとなった。
2020年度は、20年12月にアコーディア・ネクストゴルフ(ANX)グループからAGが石岡GC(18H、茨城)と南市原GC(18H、千葉)、NXがきみさらずGL(18H、千葉)と武蔵GC(18H、埼玉)の計4コースを平和・PGMグループに売却したケースが発生、2大大手のなかでも優良な案件の売買で同年度の平均価格を優に上回る価格で成立したと見られ、平均価格を押し上げた。これら都市圏の人気コース以外は10~15億円、地方部では3億円とか1億円前後での売買もあったようで、特にコロナ禍を理由に売買金額が下がったようなケースはなかった。むしろ今年4月以降は都市圏近郊でも売買案件が増えつつあるようだ。
今年はポストコロナに向けて、西武ホールディングスグループがアセットライト化による収益転換を見込み、今年度中にホテルやゴルフ場等のファンドへの売却を予定しているなど、コロナ禍で財務状況が悪化した上場企業では資産の切り離しによるキャッシュの確保も課題となっている。
また団塊の世代が後期高齢者入りし、経営者の後継探しも課題となっており、ゴルフ場の経営者が代わる要素が増えている。
ゴルフ練習場に若者が増えて活気を取り戻し、ゴルフ場も人気と聞くと異業種や若い経営者にも興味を持たれやすい。近年、待ちかねていた東京オリンピックが無観客で開催となったことでインバウンド期待は先延ばしとなったが、日本のゴルフ場が世界に認知されたことは間違いなく、新たなバイアーが現れるかもしれない。
なお例年、ゴルフ場の売買事例一覧を掲載する「2021年ゴルフ場企業グループ&系列」(定価5500円=税込み)は8月下旬(24日以降)に一季出版㈱から発行することが決まった。現在予約受付中。