2021.09.28
2021/9/28 MBKパートナーズ、ANXの一括譲渡を検討か?
国内最大のゴルフ場運営グループとなっているアコーディア・ネクストゴルフ(ANX)の親会社でもあるMBKパートナーズが同ゴルフ場事業の売却準備を開始したとの報道が8月初旬に韓国内で流れたことがわかった。8月2日に韓国のザ・コリアエコノミーデイリーが報じたところによると、英国のM&A専門誌の「マージャーマーケット」がアコーディア・ネクストゴルフ売却のための案内を投資家先に送付したというもの。売却価格は最大4000億円(約4兆2000億ウォン)と推定され、 買収の候補としてはグローバル資産運用会社や私募ファンド、国内外企業などが取り上げられているという。売却主管会社はモルガン・スタンレーとしている。
また8月3日付けでは、韓国の経済関係サイトも興味を示し、パンデミック主導のゴルフブームの影響でゴルフ場の価値が向上したことが、MBKのEXIT(出口)戦略の背景にあると推測しており、ANXのEBITDAが昨年400億ウォンだったことを考えると、市場アナリストはこの取引は最大4000億円(36億ドル)と見積もっている。ゴルフコースは通常、EBITDAの7~10倍の価値があるとも紹介した。
別の報道では、売却先としてKKR、ブラックストーン、フォートレスインベストメントグループなどの世界的な主要資産投資家の関心を集めているとし、日本やゴルフ事業で大きな存在感を示している韓国のハイテク巨人も候補として浮かんでいると紹介した。
1つはNAVER LINEでポータルサイトの他にキャッシュレス決済にも積極的なことからゴルフ場の買収に関心がありそうとの報道。もう1つはカカオジャパンで、同社のインドアゴルフシミュレーター子会社はパンデミック化でゴルフの人気が急上昇し繁栄している等としている。
いずれも憶測記事であり、この段階でMBKパートナーズの東京事務所(東京都千代田区)に本紙で確認したところ、やはり「この件についてはコメントできない」の答えだった。
ファンドである限り、EXITはやってくる。例えばMBKパートナーズのHPには投資先として韓国中心に日本、中国、台湾の企業が紹介されており、アコーディア・ネクストゴルフのところではファンド名は「MBK Partners III, Special Situations I」でInvestment Date(投資時期)は「February 2017, February 2019」。Komedaではファンド名は「MBK Partners II」、Investment Dateは「February 2013」、Exit Date「June 2017」とある。つまり、ANXにもExitが入る時期がくることになる。
㈱アコーディア・ゴルフは2017年3月に㈱MBKP ResortのTOBが成立して上場廃止しており、2019年3月にオリックス系からゴルフ場事業(現・ネクスト・ゴルフ・マネジメント)を取得。同年11月からアコーディア・ネクストゴルフ㈱がそれぞれゴルフ場事業会社の親会社となっている。つまり、EXIT方法としては日本で株式を再上場したり、日本企業に株式を譲渡する方法があり、その他の選択肢としては今回のように海外の投資家に譲渡する方法もある。
ANXのゴルフ場事業は日本のゴルフ場市場の12%(ゴルフ場数は169コース)とMBKパートナーズでは紹介している。ゴルフビジネスが拡大している韓国市場で事業価値を推測した方が高くなるのは間違いないが、日本市場で譲渡先が見つからなかったかどうかは定かではない。8月初旬当時にモルガン・スタンレーは近く入札手続きを開始するとの報道もあったので、日本よりも韓国発で情報が入るかもしれない。
親会社が交代しても例えばゴルフ場会員のプレー権などは影響しないと思われるが、やはり出口が気になるのは間違いない。