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2022.03.23
2022/3/23 2021年ゴルフ場企業法的整理、3年連続ひと桁の3件

2021(令和3)年のゴルフ場企業法的整理は、前年に引き続き低水準に推移した。
2021年の法的整理の申請状況は、1月に1件(1社)、11月に2件(2社)あり、年間トータルで3件(3社)だった。
前年のゴルフ場企業法的整理申請4件(4社)に比べると、21年は1件(1社)の減少。3年連続でマイナスを記録するとともに、ひと桁申請も3年続いている。
コース数は既設が3コース(前年比1コース減)、建設中・認可未着工が0コース(増減なし)。負債総額は107億円(120億円減)で、1件当たりの負債は36億円となり前年よりも21億円減っている。
2021年の法的整理件数、負債総額は、バブル崩壊後の1994年(法的整理件数3件、負債総額237億円)に近い水準になっている。負債総額は法的整理状況をまとめてから最も低い。

21年に法的整理を申請したゴルフ場企業は、亀山湖CC(現・木更津東GC、千葉)の旧経営会社である㈱東京ベイサイドリゾート(1月21日、特別清算申請、負債総額約20億98百万円)、高松グランドCC(香川)経営の高松グランドカントリー㈱(11月24日、民事再生法申請、約46億80百万円)、関ヶ原CC(岐阜)経営の関ケ原カントリークラブ(権利能力なき社団、11月29日、民事再生法申請、約40億円)の3件だった。
㈱東京ベイサイドリゾートは、2006(平成18)年にも民事再生法を申請し自主再建型の再生計画案が認可決定を受けていた。しかしその後、売上が伸び悩み、2019年の2度にわたる台風と20年のコロナにより、状況を打破できなかった。そこで、リソルホールディングス㈱をスポンサーに選定し、20年12月25日に亀山湖CCの事業承継に関する契約を締結、21年4月1日に会社分割で新設した㈱亀山湖カントリークラブにゴルフ場を承継させる一方で、㈱東京ベイサイドリゾートは協定案に沿って会員など債権者の弁済を済ませ、解散となっている。
高松グランドカントリークラブ㈱は、私鉄運営の高松琴平電気鉄道㈱の子会社として、地元有力企業の資本参加を得て設立。県外客も多く1999年11月期には年収入高約8億6800万円を計上していた。しかし、その後は景気の低迷やゴルフ人口の減少により業容の縮小が続き、2004年には台風によって鹿庭コースが陥没などの甚大な被害を受け、大幅な欠損計上により財務面は債務超過の状態が続いていたという。今後については、ゴルフ場の営業自体は黒字を維持していることからスポンサーを付けずに自主再建を模索していくとしている。

関ケ原カントリークラブは、1974(昭和49)年に岐阜県下の有力企業経営者らの協力の下、任意団体として開場した関ケ原CCを運営している。任意団体が民事再生法を申請するのは、2000(平成12)年の同法施行以来、初めてのことだ。同CCは岐阜県西濃地域における名門クラブとして知名度は高いが、バブル崩壊後に入場者数や売上が減少して年収入高がピーク時の2分の1弱となる約3億2400万円にとどまっていた。加えて、会員預託金の償還期限が経過して新型コロナの影響から退会者が急増、さらにコロナ禍の業績悪化で自力償還が困難になったことから、民事再生法に至っている。プレパッケージ型の民事再生で、スポンサーには大垣共立銀行の親密企業で損保や飲食業の正和商事㈱(岐阜県大垣市)が選定されている。
なお、バブル崩壊以降の法的整理状況は、21年12月末で件数802件(既設984コース、建設・認可48コース)、負債総額16兆9872億円となった。

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※「ゴルフ特信」第6768号より一部抜粋

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