2022.03.24
2022/3/24 ゴルフ場企業決算、21年3月期以降は回復目立つ
直近で有価証券報告書を提出したゴルフ場企業69社を集計した。
2020年11月や12月の通期や2021年3月期の通期決算企業は、コロナ初期の影響が色濃く残っているものの、21年9月期決算や半期報告では如実に回復している。
2020年11月から2021年9月期の通期ベースで集計すると、経常損益では5割強が赤字だった。このうち期末で分けると、20年11月から12月に期末を迎えた27社では7割近くが赤字だったのに対し、21年3月期前後は4割程度に低下、9月期は2割弱となった。その後の半期は赤字企業も2割前後と改善、売上高が2割強も増加し、V字回復となった。
20年4~5月の業績を含むかどうかで業績内容は大きく異なり、20年11月から12月の期末の27社でも4~5月の5割前後とも見られる過去最大の落込みを20年秋の急回復で2割弱の売上高減少までカバーした形となっている。これら企業の21年5、6月の半期は前年の反動で売上高が2割強も回復、経常収支においては超回復となっている。
決算内容を公開した69社は、決算期が平均52期と歴史のある株主会員制のゴルフ場が中心で20~21年通期ベースのメンバー利用比率は44・0%。経産省の動態統計で集計された21年のメンバー利用比率は31・8%だったことから、コロナ初期はメンバーの利用で支えられていた面も強かったに違いない。
また経済構造実態調査を取り上げた際、同調査では売上高付加価値率を算出していたので、20年調査(前年の1~12月)のゴルフ場は41・3%だったことから、今回集計した69社で売上総利益から付加価値率を見ていくと通期では24・0%と前年を大幅に下回ったことがわかった。付加価値額は営業利益に給与総額、租税公課等を足したもので労働分配率の算定にも使われることから、中小企業庁は大企業と比べて少ない中小企業に対して、付加価値額の創出と拡大を推奨しているところだ。21年通期の決算などは大幅に改善していくだろうし、ゴルフ場企業が2年前等の通常期と比べてどうかに注目したいところ。
ちなみに、指標になりそうな数値を挙げておくと、平成24年の経済センサスでは労働分配率の全産業平均が48%前後となっていた。従業者1人当たり付加価値額(労働生産性)では娯楽業が4・60百万円、従業者1人当たり売上高は娯楽業が38・55百万円だった。
なお、個別の通期及び半期の決算は次号で掲載する。便宜的に付けた企業№は通期及び半期も同一企業のものだ。