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2022.06.30
2022/6/30 ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(福岡)管財人案で認可決定

ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(18ホール、福岡県糸島市)の経営会社である㈱ザ・クイーンズヒルゴルフ場(管財人=小畑英一弁護士)は、ゴルフ場のホームページ上でも5月31日付けで東京地裁から更生計画認可決定を受けたことを報告した。
管財人は今年1月18日に東京地裁へ提出した更生計画案が書面投票及び関係人集会による決議の結果、多数の債権者から管財人案への賛同を受けたし、〝会員を始めとする関係人各位のご理解とご協力の賜物と心より感謝申し上げます。〟と報告した。

投票の結果として、更生債権者の組は、管財人案が可決され、(大口債権者の)有限会社アセットコーポレーションが提出した更生計画案は否決された。更生担保権の組は、唯一の更生担保権者が、両案とも同意しなかったため、両案ともに否決となったが、裁判所が会社更生法200条1項4号に基づく権利保護条項を定め、管財人案について更生計画認可決定を行ったという。
また、これを受けて㈱ザ・クイーンズヒルゴルフ場は5月31日をもって従前の役員は退任となり、裁判所の許可を得て、新取締役に小畑英一管財人を選任した。

会員権については、会員に対して会員権の継続・退会選択に関する書面を送り、7月20日の提出期限までに会員契約の書面提出がない場合は、退会扱いになると案内している。
更生債権等の弁済については、継続会員の預託金債権は、更生計画に基づき90%の免除を受けた上で、一般社団法人ザ・クイーンズヒルゴルフクラブの基金に現物拠出する。
更生計画の遂行、事業の経営並びに財産の管理及び処分については、更生手続の終結まで、管財人が権限を有するとした。
2001年に第69回日本プロゴルフ選手権大会が開催されるなど高級ゴルフ場として運営されていた同ゴルフ場だが、17年に創業者が死去してから株主権を巡る争いが生じ、20年にゴルフ場会員からの民事再生法の適用申請(その後棄却)や大口債権者からも再生法申請を受け、クラブの委員も再生法適用を申請したことから20年12月に福岡地裁から再生手続開始決定を受け、管財人が選任された。そして同じ12月に会社側と大株主が東京地裁へ会社更生法の適用を申請したことから、21年1月5日に同地裁から会社更生法の開始決定を受け、更生手続きに移行した。小畑英一弁護士が更生管財人に就任していた。

管財人は「預託金債権と担保権を除けば営業面で黒字で収益弁済でき、会員組織の社団が株主となった間接株主会員制で再建できる」と説明してきた。更生担保権者から担保権額の査定について申立てがあり最高裁まで争ったことから、手続きが延びていた。一方で同ゴルフ場のスポンサーに名乗り出たところも多かったが、会員の賛同が得られずその後立ち消えになったという。
弁済条件について管財人案は、預託金を除く一般債権のうち30万円以下は100%、30万円超~1億円以下の部分を5%、1億円超の部分を1%弁済する案で、継続会員の預託金は永久債化し、退会者には66万円を5年間で分割弁済することとなる。
ちなみに、大口債権者の有限会社アセットコーポレーションの弁済案はスポンサー企業が30~35億円を拠出し、20万円超の債権は20%を一括弁済、継続会員はその20%を退会時に返済するもので、スポンサー企業にはゴルフ場を2カ所運営する不動産会社を挙げていたという。

関連記事:2021/2/3 ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(福岡)民事再生手続開始

※「ゴルフ特信」第6805号より一部抜粋

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