一季出版株式会社

2022.10.16
2022/10/13 会員の利用高止まりか、今後は非会員の拡大に期待

経産省動態統計による今年上半期ゴルフ場は、近来にない活況ぶり。さらに、実態をよく見るために18ホール平均に換算して分析すると、コロナ前とは大きく異なる傾向があり、ここにきて折り返し地点とも言うべき現象も出現しつつあることがわかった。
まず今年上半期を18ホール換算で見ていくと、前年同期比で利用者数は5・5%増、売上高は12・4%増と利用者数より売上高の増加率が上回る。そのプラス要因は食堂・売店(直営)16・1%増、利用料金収入12・7%増が挙げられ、非会員の利用者数が7・8%増加したのを見逃せない。もっとも、コロナ前の19年上半期と比べると利用者数は6・5%増に対して、売上高は4・9%増と利用者数の伸びに及ばない。それは会員が11・4%増加したのに対して、非会員は4・4%の増加に留まっているためだ。また食堂・売店(直営)も0・5%減、キャディフィに至っては10・8%減で、キャディ数も13・1%減少している。

次に月別の動向では、5月と6月は北海道などの北国もクローズしているゴルフ場が少ないことから、平均日数から平日と土日の営業日数を特定して、会員、非会員の利用者数を推定できる。
6月のゴルフ場利用者数は経産局(省)のある8都道府県で104万3385人となり、6月としては100万人の大台を超えるのは10年以上なかった。18ホール換算では3808人(前年同月比7・4%増)で、うち会員は1111人となり、前年同月比では0・8%増、会員利用比率は29・2%であった。わかりやすいように1日当たりの利用者数で見ると、全曜日平均は133・6人(7・4%増)だが、曜日別では平日116人(7・5%増)、土・日祝日179人(7・2%増)と増加率はほぼ同等だ。
5月の18ホール換算は4159人(前年同月比12・6%増)で、うち会員は1257人となり、前年同月比では1・3%増、会員利用比率は30・2%であった。1日当たりの利用者数で見ると、全曜日平均は141・3人(11・6%増)で、平日122人(17・0%増)、土・日祝日169人(9・9%増)と平日の伸びが目立った。

6月の平均営業日数は28・5日(前年同期も同)で土・日祝日の8日間以外に平日休業日があると推計できることから平日の営業日数は20・5日。5月は平均営業日数は29・4日(29・2日)で土・日祝日は12日間(13日間)と前年より1日少なくなったが、平日は営業日数が17・4日(16・2日)に伸びていた。
上半期及び5月、6月の18ホール換算を見ると、コロナ禍前より会員の利用、平日の利用、セルフプレー(キャディフィなし)が増えたことがわかる。コロナ初期は高齢者のゴルフ控えも発生したが、会員のホームコース利用は遠隔地へ出かける心理的ブレーキから増していた。もっとも、都内のゴルフ場支配人は「6月下旬から会員の利用割合が少なくなった。何コースも会員の方がいるので分散するようになったのでしょう。その分、ビジターが増えてきた」と語っており、土・日祝日にビジターのプレー枠が生まれることは運営的には助かると感じているようで、コロナ禍でのゴルフ場復興期はビジターの利用が増える折り返しのターンに入っている可能性がある。コロナ前の19年6月の会員利用率は27・1%で、土・日祝日の1日当たり利用者数は19年6月に190人あり、今年6月の179人はまだ余裕があることになる。ちなみに、6月は日が長くなることから早朝、薄暮の営業を行うコースも多くなり、「18ホールの上限は50数組の通常枠」を拡大させているコースも多い。

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※「ゴルフ特信」第6838号より一部抜粋

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