一季出版株式会社

2023.05.26
2023/5/26 ゴルフ場企業決算、21~22年期はV字回復から横バイ

直近で有価証券報告書を提出したゴルフ場企業69社を集計した。その結果、集計69社の通期ベースの売上高は468億78百万円で前年同期比では14・5%の増加、利用者数は10・2%の増加だった。

期末毎に利用者数と売上高の増加率を見ていくと、2021年11~12月を期末とした27社では、利用者数が3・7%増(増加24社、減少3社)、売上高で4・4%増(増加26社、減少1社)だった。コロナ禍当初から反動したV字回復期の21年4~6月を含むものの目立った増加率ではないが、一部ゴルフ場で財政上の施策で大幅欠損を計上したことによるものだ。27社中、営業損失は約半数の14社を数えたが、経常損益と当期最終損益での赤字は7社のみで赤字率は4分の1ほどだった。
22年1~4月期末の36社では入場者数9・7%増(増加34社、減少2社)、売上高390・8%増(増加29社、減少1社、その他1社)、22年9月期末の6社では利用者数3・4%増(増加5社、減少1社)、売上高7・0%増(増加6社)と依然好調だが、営業損益や経常損益は前年度には及ばなかった。69社計では利用者数増加は91・3%の63社、売上高増は88・4%にあたる61社だった。

全体的に非常に好業績だが、有価証券報告書を提出するゴルフ場企業の多くは歴史のある株主会員制クラブが多く、コロナ禍には営業自粛が長引いたゴルフ場も多かった。そのため修繕費を繰り延べしたり、営業損益でこだわった営業でもなく、コロナ禍で会員入会者が増えたことで、経常利益を黒字にする都心の代表的なクラブも目立った。
ある都心のゴルフ場企業は、「費用面においては、コース維持費等の減少があったものの、人件費や水道光熱費、租税公課等の増加」により、利益は改善したものの営業損失が続いたという。

前年同期の集計と比較すると、従業員数(臨時も含む)は1社平均93名、18ホール換算60名と変わらないが、実際は正規従業員が若干減り、臨時従業員が戻ってきている。この求人の関係もあるだろうが、売り上げ増ほどは及ばないが、給与総額も増加している。
また22年2月24日から、ロシアがウクライナに侵攻し、特に光熱費が値上がりした。最新の22年9月期で決算報告したゴルフ場企業では水道光熱費の約27%増が2社、燃料費が40%増、電力費が56%増加した企業があった。昨春以降の高騰の影響は今後さらに高まりそう。ただ、光熱費値上げの影響は不確定な部分も多く、対策として電気会社の契約を自由契約から規制契約に戻したとしても、今後の値上げ次第で、お得になる保証はない。多くのゴルフ場は照明のLED化や節約で対処しているようだが、それにしても光熱費で2~3千万円となれば利益も吹っ飛びかねず、ゴルフ場企業も警戒心が高まっているようだ。

給与所得を上げるには売上から原価等を引いて導き出す付加価値額を増やす必要があるとして、ゴルフ場企業の付加価値額も注目されるが、便宜的に売上高に占める売上総利益を割って売上高総利益率(総利益÷売上高)を算出すると、28・7%となり、前回集計の24・0%より4・7ポイント向上した。今回、69社のうち売上総利益が明記されていたのは49社で、1従業員当りの売上総利益は279・6万円となり、前年集計の169万円より向上した。

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「ゴルフ特信」第6913号より一部抜粋

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