2024.05.28
2024/5/28 2022年度全国ゴルフ練習場、利用者数1億人下回る
ゴルフ練習場業界の専門紙「月刊ゴルフレインジ」(東京都渋谷区)を発行するケージーアール出版と、系列調査機関である㈱ゴルフ経営研究所は、2022年度(22年4月1日~23年3月31日)の「全国ゴルフ練習場の施設数と利用状況」の共同調査結果を「月刊ゴルフレインジ」2月号(1月25日発行)で発表した。
同紙では近年の施設形態の多様化に即して、21年度の調査から〝ゴルフ練習を主たる目的とした複数打席を有する施設〟等と「ゴルフ練習場の定義」を一部改定、屋内外に関わらずゴルフ練習施設を練習場としたほか、ゴルフ場が開放していた施設内練習場は除外して調査している。
今回の調査によると22年度の延べ利用者数は、9658万3000人で前年度に比べ372万5千人減少(前年度は981万9千人増)、率では3・7%減(10・9%増)で4年振りの減少となった。20年度3・3%増、21年度は10・9%増加で12年振りに1億人突破の1億30万9千人を記録する〝コロナ特需〟に沸いたが、22年度はその人気を当て込んだインドア施設の乱立、反動減が重なりマイナスに転じたと報告している。
22年度の施設数は2872施設で、前年度比5施設増、率では0・2%増となった。施設数が増加に転じたのは30年振り。施設数の最多期は1992年度の5420施設で、その後減少に転じ、累計で2548施設少なくなり、ほぼ半減となっている。
同報告によると、練習場業界は2010年度から延べ利用者数が落ち込み、11年度の東日本大震災やその後の異常気象、消費税増税、地震、豪雨等で回復に時間がかかったが、19年度頃からスタープロの活躍もありゴルフ人気が再来し、20年度はコロナ禍で需要減が懸念されたものの練習場特性が幸いし、21年度の1施設当たり延べ利用者数は3万4987人で前年度比15・1%増と大賑わいとなり、統計開始以来、最大値の特需に沸いた。前出通り22年度は反動減もあり1施設当たり延べ利用者数が前年度比3・9%減の3万3629人となったが、21世紀に入り3万人超えとなったのは20年度の3万406人からで、依然高いレベルにある。もっとも23年度は反動減が続いていると報告している。
施設数を都道府県別にみると、前年に比べ増加したのは東京都10施設増(171施設増)、神奈川県5施設増(19施設増)、大阪府4施設増(25施設増)など増加したのは11都府県、前年度比同が17道県、前年度比減が大分県と宮崎県3施設減など19県となった。前年度は練習場の定義見直しやインドア施設の乱立により施設数が増えていた。
延べ利用者数を都道府県別にみると、東京都の2067万2千人(1・6%減)が最も多く、大阪府が835万9千人(2・9%減)で次ぎ、以下、神奈川県849万7千人(0・6%減)、埼玉県710万3千人(4・9%減)、愛知県668万1千人(5・5%減)、千葉県625万人(2・7%減)などと続いた。
増減率では増加が福井県11・6%増、新潟県3・2%増、沖縄県1・3%増の3県のみでいずれも施設が増加した県だった。減少は大分県13・3%減、宮崎県13・2%減、和歌山県11・8%減などとなっている。
22年度の全国1施設当たり利用者数は3万3629人だった。都道府県別にみると、利用者数最多は大型施設の多い大阪府の6万6338人(6%減)、2位は奈良県の4万9718人(5・1%減)、3位は神奈川県の4万9691人(3・5%減)、4位は東京都の4万5534人(3・8%減)、5位は埼玉県で4万4675人(4・9%減)。やはり大都市部とその周辺県が多かった。
同紙の報告によると、22年度は全体施設の35%強がインドア施設だという。しかも、練習場の施設分布は関東に全体の41%が集中していて最多の東京は454施設のうち76・4%がインドアで23区内に限定すると82・8%を占める。屋外練習場は大手企業の人気練習場の閉鎖や、個人系や都市部の中小規模施設でも施設老朽化や相続、後継者問題から閉鎖が相次いでいる。
その一方でコロナ禍のゴルフブームを背景に規制緩和、シミュレーターの普及、開設の容易さ、事業再構築補助金などから、今後はインドアの新設ラッシュが21年度後半から24年度前半にかけておきていて、この間でインドア施設が約1000施設ほど開設されるものと推測されている。
しかし、開設したインドア施設の半数以上が経営に不安があると指摘しており、今後インドアの淘汰(閉鎖)が増えることが予想されるという。
インドア施設をチェーン展開しているグループでは、インドア施設の乱立は目立つが各施設は2~3打席などが主流で、屋外の練習場施設の閉鎖・縮小を補完するまでには至っていないことからも強気の拡大姿勢を示しているところが多い。ただし練習場需要が頭打ちになっているのは確かで、今後もインドア施設の需要を見込めるかは運営次第ともなりそうだ。